木質耐火部材
COOL WOOD
当社が開発したCOOL WOOD(クールウッド)は、燃え止まり層に石こうボードを使用した木質耐火部材です。
加工しやすく、デザインやコストに合わせて様々な木材で製造可能。柱や梁の外観は木質のため、木の温もりを活かした建物に仕上げることができます。
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【国土交通大臣認定取得】
◎1時間耐火構造仕様(柱・梁・外壁)
◎2時間耐火構造仕様(柱・梁・間仕切壁・外壁・床)
◎3時間耐火構造仕様(柱・梁)
日本・カナダ・スイスで特許取得
【特徴】
・表面材にすべての樹種が選択可能
・JAS製材、不燃・準不燃・難燃処理を施した木材も使用可能
・加工の簡便性(流通素材のみ使用、特殊工具不要)
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木質耐火構造技術
【三重構造】(特許第4359275号)
1.内部の「荷重支持部」は木材を使用
2.中間部の「燃え止まり層」は石こうボードを使用
3.「表面材」は木材を使用(柱・梁)
耐火性能試験
国土交通大臣認定取得のために、耐火性能試験を行います。3時間耐火性能試験では、試験体に荷重を加えた上1,000℃を超える炉内で3時間燃焼。3時間が経過した後も、試験炉を閉めきったまま9時間残置します。試験開始から合計12時間後に炉を開け、試験体の被膜を剥がし、荷重支持部に炭化痕(焦げ目)がない木肌を確認します。この試験は、火災時、長時間に亘って消火活動ができない状況でも自然に鎮火し、建物が崩壊に至らないことを確認する意味合いがあります。
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①試験体製作
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②炉の中に設置
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③燃焼中
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④自然鎮火後の試験体
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⑤内部確認
採用事例
シェルターなんようホール(山形県南陽市文化会館)
地元産の杉をふんだんに活用した文化会館。1,403席収容の「世界最大の木造コンサートホール」を有しています。
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【建築概要】
設計:大建設計
施工:戸田建設・松田組・那須建設共同企業体
延床面積:5,900.98㎡
階数:地下1階、地上3階
防火地域: 法22条地域
COOL WOOD仕様:1時間耐火(柱)
ミナカ小田原
小田原駅直結の複合施設。4階建ての低層棟(小田原新城下町)に神奈川県産材を含む木材を活用しています
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【建築概要】
設計:万葉倶楽部 一級建築士事務所/実施設計:五洋建設 本社一級建築士事務所/木造設計:シェルター 建築設計事務所
施工:五洋建設、石井工務店(低層棟木造部・外装)(木工事)
延床面積:31,419.40㎡
階数:地下1階、地上14階(全体)
防火地域:防火地域
COOL WOOD仕様:1,2時間耐火(柱・梁)
KITOKI
日本橋兜町に建つ10階建てビル。メガストラクチャーと木造によるハイブリッド構造。
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【建築概要】
設計・施工:ADX
木部施工:シェルター
延床面積: 738.75㎡
階数: 地上10階
防火地域: 防火地域
COOL WOOD仕様:2時間耐火(柱・梁)
日本初! 3時間耐火の認定取得
当社は2017年12月に、日本で初めて3時間耐火の国土交通大臣認定を取得しました。
法律上最長の耐火時間である3時間耐火仕様が実現したことで、階数の制限がなくなり、今まで鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建てられてきた超高層ビルに木造を取り入れることが可能となりました。
都市部に多種多様な木造建築が立ち並ぶ「火に強く、人と地球環境にやさしい木造都市」の実現に向け、さらなる技術開発を進めてまいります。
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※高層の建物は最上階から避難する時間を考慮するため、全体の階数が増えるにつれて下階の耐火要求時間が長くなります。
木質耐火部材の新デザイン「丸柱」
COOL WOODは、耐火性にデザイン性を兼ね備えた「丸柱」が製作できます。
また、エンタシス(緩やかなふくらみのある胴張り)やフルーティング(表面の縦溝)加工を施すことも可能です。こちらは複雑な加工を要するため、当社が導入した三次元加工機でのみ製造可能です。設計者のイメージ次第で、多角形や曲面など、あらゆるデザインを実現することができます。
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左から、
エンタシス・フルーティング フルーティング エンタシス 直
Q&A
木造で耐火建築物を建てる意義は?
木造耐火技術の確立によって、鉄筋コンクリート造や鉄骨造でしか建てられなかった建物、つまり大規模・中高層の木造建築物が建てられるようになっています。新たな市場の創出によって木材の需要が増加することで、林業の活性化、森林環境の整備、地域経済の活性化につながります。
耐火性能を求められる建築物は?
建物に求められる耐火性能は、建築地の防火地域規制、建物の用途・延べ面積・階数、建物の最高高さ、軒高さによって異なります。
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※1 木造(その他建築物):延焼のおそれのある部分の外壁・軒裏は防火構造とする
※2準延焼防止建築物:昭62技術的基準適合建築物
■法22条区域
1.000㎡ごとに防火壁を設ける(法26条)
木造耐火建築物をつくるには?
耐火建築物を設計する方法として、ルートA(仕様規定)、ルートB(国土交通省告示の耐火性能検証法によるもの:性能設計)、ルートC(高度な設計法として国土交通大臣が認めるもの:性能設計)の3つの方法が規定されており、木造建築物でルートAを採用する場合、「メンブレン型」、「燃え止まり型」、「鉄骨内蔵型」の3通りが実用化されています。
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COOL WOODって何ですか?
日本・カナダ・スイスで特許を取得している、燃え止まり型の耐火部材です。2014年に木造2時間耐火、2017年に木造3時間耐火の国土交通大臣認定を日本で初めて取得しました。
【受賞歴】
令和2年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞
第6回ものづくり日本大賞 製品・技術開発部門 特別賞
第1回ウッドデザイン賞
山形エクセレントデザイン2015 技術デザイン賞
どの部位に使えますか?
1時間耐火仕様は柱・梁・外壁、2時間耐火仕様は柱・梁・間仕切壁・外壁・床(壁は耐力壁)、3時間耐火仕様は柱・梁に使用できます。
樹種指定はありますか?
樹種指定はありません。荷重支持部材にも、柱と梁の表面材にもあらゆる樹種(杉、唐松、桧etc.)がお使いいただけるため、地域産材の活用も可能です。 荷重支持部は製材、無等級材、集成材、LVL、一部CLTで認定を取得しています。 より詳細なCOOL WOODの仕様についてはお問い合わせください。
梁に貫通孔を設けられますか?
梁に貫通孔を設けることは可能です。
他の構造と併用できますか?
木造だけでなく、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)との混構造・ハイブリッド構造にも使用できます。高層ビルをつくる場合、基礎とエレベーター・階段室等をRC造で構築して地震や風による水平力を受け持ち、鉛直荷重を木造の柱で支えることで、コア以外は木材を多用し、木質感溢れる構造にするということも可能です。
S・RC造のビルの上階を木造で増築することもできます。木造は比較的部材が軽く、運搬しやすいため、高所の増改築に適しています。
COOL WOODを使うには?
COOL WOODは(一社)日本木造耐火建築協会を通して技術をオープン化しているため、全国の工場で製作・供給が可能です。構造・防耐火設計、製作、施工まで一括でサポートいたします。まずはお問い合わせください。また、COOL WOOD以外にも、木造耐火に関する疑問等がございましたらお気軽にご相談ください。