【ニュースリリース】木質耐火部材 COOL WOOD が「EPD(環境製品宣言)」取得

25.09.18

 株式会社シェルター(本社 山形県山形市/代表取締役社長 木村仁大)は、木質耐火部材「COOL WOOD(クールウッド)」の1時間、2時間耐火仕様の柱において、EPD Hub※1にて認証を受け、EPD(環境製品宣言)を取得いたしました。なお、EPD Hubのサイト上に2025年6月27日付で公表されています。
 EPD(Environmental Product Declaration)は、LCA※2の手法を用いてCO₂排出量などの環境情報を算出し、国際規格(ISO 14025)に基づいて開示する環境ラベル(タイプⅢ)です。環境に配慮した製品を客観的に評価・選定するための指標として欧米を中心に広く活用されており、日本国内においても普及が進んでいます。また、EPDの評価領域には「環境影響領域※3」と「資源利用指標※4」があり、気候変動に加え自然資本全体への対応が重視されています。
 構造耐力上主要な部分において、複数の建築素材を組み合わせた複合体のEPD取得は、建築物のCO₂排出量を可視化し、エンボディドカーボン※5削減に向けた具体的な取り組みを可能とするとともに、LCAの算定・評価を促進するための重要な指標となります。さらに、EPD取得製品の使用が加点要素となるグリーンビルディング(環境配慮型建築)での採用や、海外市場での需要拡大も期待されます。
 持続可能な木質耐火部材として「COOL WOOD」の普及・拡大を図り、当社の掲げる「都市(まち)に森をつくる」というコーポレートビジョンのもと、森林資源の活用による環境負荷低減や2050年カーボンニュートラルの実現に取り組んでまいります。

写真1

対象製品:COOL WOOD(1時間耐火仕様・柱)
登録番号:HUB-3377
GHG排出量:2,82E+02 kgCO₂e

写真2

対象製品:COOL WOOD(2時間耐火仕様・柱)
登録番号:HUB-3440
GHG排出量:2,88E+02 kgCO₂e



※1:EPD Hub
アイルランドのEPDプログラム運営機関

※2:LCA(ライフサイクルアセスメント)
原材料の調達から、製造、流通、消費、廃棄に至るプロセス全体の環境負荷に対し、ISO14040及び14044による定量的な評価を用いた比較、最適化の検討を行うことが可能な手法。

※3:環境影響領域
製品が環境へ与える影響を多角的に評価する分野を指し、気候変動(GWP)、オゾン層破壊(ODP)、酸性化(AP)、富栄養化(EP)、光化学オキシダント(POCP)など、広範な環境問題が含まれます。

※4:資源利用指標
製品が消費する資源の量や枯渇リスクを評価する指標を指し、再生可能資源、非再生可能資源、再生可能エネルギー、非再生可能エネルギー、淡水の消費が含まれます。

※5:エンボディドカーボン
建築物の資材調達、製造、輸送、施工、修繕、解体、リサイクルで排出されるCO₂排出量

EPD取得の背景

 当社は海外展開の一環として、2023年にウォルトガルマリーニ社(スイス)、2024年にMKA社(アメリカ)、2025年にヘリング社(スイス)とそれぞれ技術供与契約を締結しました。都市部での木造ビル建築に不可欠な当社の木造技術(接合金物工法「KES構法」、木質耐火部材「COOL WOOD」)のライセンスを供与するものです。
 欧米での木造ビルの普及と市場拡大を進める上で国際規格に基づくEPDの取得は必須であり、日本の高い耐火基準を世界のデファクトスタンダードとするための大きな足掛かりとなります。

木質耐火部材『COOL WOOD(クールウッド)』概要

 燃え止まり層にせっこうボードを用いた耐火部材。1、1.5、2、2.5、3時間の国土交通大臣認定を取得し(2、3時間は日本初)、日本、カナダ、スイスで特許を取得しています。
 中心部の「荷重支持部」にはスギ以上の比重がある樹種を選択でき、製材、集成材、LVL、CLTなどが使用可能です。
 (一社)日本木造耐火建築協会を通じて技術をオープンにしています。

[2020年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞 技術部門 受賞]

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