【ニュースリリース】スイス・ヘリング社へシェルターの木造構築・耐火技術を供与

25.07.04

 株式会社シェルター(本社 山形県山形市/代表取締役社長 木村仁大)とスイスを拠点とする木造建築企業 ヘリング社(本社 スイス・エイケン/取締役会長 クリストフ・ヘリング)は、現地時間 2025年6月10日付で技術供与の契約を締結しました。
 本契約は、両社の繁栄、欧州と日本の双方における木造建築の更なる発展に貢献することを目的としています。都市部での木造ビル建築に不可欠な、当社が有する木造建築の構築技術(接合金物工法「KES構法」)と耐火技術(木質耐火部材「COOL WOOD」)のライセンスを、欧州で多数の大規模木造建築の実績を有するヘリング社に供与し、EUを中心とした欧州諸国での木造ビルの普及と市場拡大を図ります。
 契約締結に際しクリストフ・へリング氏は、「公共の建築物や、大規模・高層建築物にCOOL WOODの技術を用いることは大変意義深い」とコメント。
 当社は、日本の高い耐火基準を世界のデファクトスタンダードにすることを目指し、人と地球環境に優しい未来の都市の姿「木造都市」を木の文化の国、日本から世界に発信します。

写真左から、ヘリング社 取締役会長 クリストフ・ヘリング氏、シェルター 代表取締役会長 木村一義
(現地時間2025年6月10日 ヘリング社オフィスにて)

背景

 環境意識の高まりから、海外で木造ビルの計画・建築が相次いでいます※1。しかしそれらの耐火設計法は、日本の建築基準法上で準耐火構造にあたる「燃え代設計※2」とほぼ同様の考え方です。火災時、火は木材の表面から燃え進みますが、中心部は一定時間にわたり残存断面で強度を保つため、燃え代を付加することで建物が倒壊するまでの時間を確保します。しかしこの設計法はスプリンクラー等の消火設備による消火効果も見込んだもので、初期消火と在館者の避難はできますが、倒壊しないとは保証できず、また、火災後、建物の再利用は難しいという懸念があります。
 当社では世界に冠たる日本の耐火技術を普及させるため、2023年12月にウォルトガルマリーニ社(スイス)、2024年4月にMKA社(アメリカ)と技術供与の契約を締結し、今回が3件目となります。
 「燃え止まり、自己消火し、倒壊しない」日本の耐火技術を供与し、その概念を広めることで、安全性を担保した木造ビルの建設が世界各国で可能となります。 

※1:海外の木造ビルの一例として、下記が挙げられる。
 (全て、鉄筋コンクリート造+木造または鉄骨造+木造のハイブリッド構造)
・「ミョーストーネット」
 ノルウェー、2019年竣工、地上18階建て、高さ85.4m
・「HOHOウィーン」
 オーストリア、2019年竣工、地上24階建て、高さ84m
・「アセントタワー」
 アメリカ、2022年竣工、地上25階建て、高さ86.6m
・「Rocket&Tigerli」
 スイス、2026年竣工予定、地上32階建て、高さ100m
・「アトラシアン・セントラル」
 オーストラリア、2026年竣工予定、地上39階建て、高さ182m
・「C6」
 オーストラリア、2023年建設計画承認、地上50階建て、高さ191.2m

※2:火災によって消失することが想定される部分(燃え代)を、構造上必要な寸法にあらかじめ付加する設計法。

■ヘリング社 概要
 ヘリング社は、140年以上の歴史を持つスイスを拠点とする木造建築会社です。EUを代表する大断面集成材メーカーであり、スイス・エイケンに本社、チューリッヒ、ムッテンツ、ブルグドルフ、中国、シンガポールに支店があります。高性能な建築システムや構造物を設計・施工し、機能性と建築デザインの両面で高い要求を満たすことを目指しており、資源効率と持続可能性にも重点を置いています。

ヘリング社 公式サイト

お問い合わせ

お問い合わせ・資料請求や、
木造建築技術に関するカタログはこちらから。

【ニュースリリース】スイス・ヘリング社へシェルターの木造構築・耐火技術を供与